アードベッグやグレンモレンジ、タリスカ、サントリー、ニッカなどのウィスキーを提供するブースを横目に最初に訪れたのがマルスウィスキー(本坊酒造)のブースです。中央アルプス駒ヶ岳山麓(長野県上伊那郡宮田村)で操業するマルス信州蒸溜所で作られたウィスキーを提供していました。
ブースでは 「TWIN ALPS」、「越百」(コスモ)、「岩井」、「駒ケ岳」などを紹介。水割りやソーダ割りで楽しめるリーズナブルな価格帯のものから、ウィスキーブームの影響で品薄状態が続き、小売店さんでもオーセンティックバーでもなかなか見かけなくなってしまったボトルを揃えていました。
また、本坊酒造発祥の地である鹿児島県薩摩半島の南西部、津貫(南さつま市)で今秋オープンする本土最南端のウィスキー蒸溜所、「マルス津貫蒸溜所」についての興味深いお話も聞かせていただきました。
“長年にわたる焼酎造りで蓄積された技術、ウィスキーづくりで得た最新技術で勝負をかける”、と頼もしいお言葉も頂きました。
台湾で操業するウィスキー蒸留所への視察など、興味深い話、感心する話ばかりで、肝心のテイスティングを忘れるという大失態を演じてしまいました。
来年はすべてのボトルを楽しみたいと思います。
スタイリッシュな透明ボトル、バニラ、ココナッツのような香り、ほんのり甘く、クリアな味わいのウィスキー「カンザス・クリーン・ディスティルド」を日本のウィスキーファンに紹介するカンザスジャパン(プレミアム・ビバレッジズ)のブース。
ブースでは、取締役のフィル・ロバートソン氏(写真)が前出の「カンザス・クリーン・ディスティルド」のほか「リッチランド・ラム」、シングルモルトウィスキーの「コーキゲン」を流暢な日本語で紹介してくれました。どちらもアメリカでつくられているスピリッツです。
リッチランド・ラム(左)は、ジョージア州で採れたサトウキビ、採取された天然水のみを原料として少量ずつ丁寧に蒸留、アメリカンオーク樽で32か月以上熟成しボトリングするとのこと。キャラメルとバニラの香り、くせはなくスムースな飲み口です。余韻としてダークチョコのようなコクとオークの香りが残ります。上品なラム酒です。
一方、コーキゲン(右)は、ピートではなくメスキートと呼ばれる南アメリカ原産のマメ科の植物のチップを焚き大麦を乾燥。蒸留後、アメリカンオーク樽とバーボン樽で2年間以上熟成します。南アメリカの乾いた荒れ地をイメージさせる独特なメスキート香(?)が印象的です。香りはアーモンド菓子、ベリーの甘い香り、バニラ、チョコレートのようなこくが感じられ、独特なメスキート香が余韻として残ります。
スコッチ文化研究所のブース。ウィスキー評論家、研究所長で、NHKドラマ「マッサン」で監修を務めた土屋守氏が厳選したレアボトルの試飲を自らの軽快な語りと共に楽しませてくれました。
ブース前では参加者が絶えず人だかりをつくり興味深げにレクチャーに耳を傾けていました。
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文/写真=アライサトシ