キャンプ好きがお気に入りの道具をリポートする企画。
今回は、バーク リバー ナイブス ブラボー1.5 CPM-3Vを紹介します。
4月16日、群馬県渋川市の北部、子持山の南麓に位置するくりの木キャンプ場スモールサイトでのレビューです。
ブラボー1.5は、アメリカ・ミシガン州バークリバーナイブス社が生産する全長27.94cm、刃渡り14.73cm、刃厚5.5mmの大型アウトドアナイフです。筆者の私物は耐摩耗性と靱性、耐食性に優れるとされる鋼材CPM-3Vをブレードに採用したモデルです。柄はスタンダードなブラックキャンバスマイカルタで、重さは266gです。重心は握った時の人差し指あたりに位置し、ずっしりとした質感はあるものの、重さは苦になりません。抜群の重量バランスで長さの割に取り回しは良いと思います。
ブラボー1.5は、ブレードが柄の最後まで柄と同じ幅で伸びているフルタング構造を採用。ブレードを柄で両サイドから挟んだだけの単純な構造で、5.5mmの刃厚と相まってすこぶる頑丈です。薪をバトニングする際に分厚い刃厚がクサビとして本領を発揮します。市販の乾いている薪の場合、刃を食い込ませるために一回、割るためにもう一回といった感じで簡単に叩き割れます。
キャンプ場内で切り倒され野ざらしになっている枯れ木の枝打ちでは、直径2cmまでなら軽い力で、鉈と同じような感覚で切り落とせました。水分を含んだ直径15cmほどの丸太も、時間はかかりましたが、解体できました。
日曜日の午後2時からの野営だったため周りにキャンパーは居なく、周囲の目を気にする必要もなく気が楽でした。サイトとサイトの距離が非常に近いキャンプ場だったら、ブラボー1.5は遠慮が必要なサイズかもしれません。家庭用の包丁よりは短いのですが。
今晩の燃料の確保が終わり、今回のキャンプのメインイベント、スプーン製作にとりかかりました。ホームセンターで購入したクリ材からスプーンを削りだす工作です。クリのような硬くて粘りがある材料の荒削りにブラボー1.5は最適だと思いました。細かな作業は親指を刃と柄の間にあるギザギザの上にのせて親指の腹で刃を操るようにして使います。
このギザギザ。「使っている間に親指が痛くなる。位置が悪い」とのことで、ナイフマニアの間では不評です。突起をあらかじめ取り除いたランプレスモデルもありますが、レギュラーモデルよりも流通量が少なく、高額です。
確かに長く使っていると親指の腹が痛くなってきますが、数少ないランプレスモデルを探して、わざわざ高い代金を支払うほどではないと思います。
青空の下での作業ははかどりましたが、調子良く削っていたら、勢い余って刃先を炉の石にぶつけてしまいました。ブレードを欠いてしまいました。製作意欲も大きく欠けました。
夕方になり日もかげってきたので火起こしです。柄の形状が握りやすく力が入りやすいのか、ブレード鋼材のCPM-3Vとファイヤースチールの相性が良いのか、ほかのナイフよりも着火はしやすいと思います。すぐに火はつきました。
暗闇に沈んでいくくりの木キャンプ場スモールサイト。眼下に広がる渋川市街地に徐々に灯がともっていきます。このキャンプサイトの醍醐味だと思います。
テントの中でブラボー1.5を点検。半日のソロキャンプで、フェザーウッドを作ったり、バトニングで薪を割ったり、枯れ枝を打ったり、クリの板からスプーンを削りだしたりと、ブラボー1.5をかなり酷使しました。岩にぶつけた箇所以外に目立った刃こぼれはありません。
ジブリを見て育った日本の若者は食パンの上に目玉焼きをのせたがる
朝食の時間。まな板を使わずにブラボー1.5でベーコン、キャベツ、シイタケ、食パン、サクサクとフライパンの上で切っていきます。味付けは塩コショウだけの簡単な野菜炒め。仕込みのテンポが良く、調理時間を短縮でき、野菜に熱が入り過ぎずにおいしく仕上がりました。
良いキャンプだったかどうかは、朝ごはんがかなりのウェイトを占める」というのが今回のキャンプの教訓です。切れ味鋭いブラボー1.5で素晴らしい一日のスタートを切れました。
文/写真=アライサトシ
追記(4/19) 宿題だったスプーンが完成しました。