英国を中心にヨーロッパでクラフトジンのブームが到来しているとか…。
規模の小さな蒸留所でつくられた個性的なジンが続々と日本にも紹介され、ジンそのものの楽しみ方を知る人が増え始めています。今回紹介する至福の30ccは、この秋、発売開始となった京都発のクラフトジン「季の美」です。製造に関しては本場のロンドンドライジンの製法にならっていますが、原材料や風味付の素材に関しては日本らしさにこだわっています。
アルコール度数は45%。我が家の冷蔵庫に常備されているイギリスのメジャージンのタンカレーは47~48%とアルコールの強さはほとんど変わりません。
タンカレーなどの本場のジンは雑穀や廃糖蜜などを原材料に用いますが、季の美は米を原材料としています。水は伏見の天然水を使用。香り付けには、本場のジンで用いられるジュニパーベリーのほか、柚子、玉露、ヒノキ、山椒、レモンを使用し、「和」を強調しているとのことです…。
ボトルを開栓し試飲したマスター曰く「ジントニック、マティーニにはちょっともったいないかも」。蒸留酒はまずストレートで飲むと決めている私は当然ストレートで注文です。
口に含むと口の中で柚子の香りがふんわりと立ちあがります。風味、味はジンそのもの。柚子の香りで「ニッポンのジンだ」と頷けます。ジン特有のキューっとした、ひりひりするようなアルコール感は弱く、マイルドなジンです。
しかし、メーカーホームページで紹介されている玉露、ヒノキ、山椒などは、「これこれ」と言って特定できることができません。日本由来、京都由来の風味付けに拘っているのでしょうが、特に際立たせず、調和を前提に採用しているのでしょう。イギリス産のオーソドックスなジンを隣に並べて飲んでみたほうが正確に比較できたと思います。
ボトルは、日本酒を入れる瓶をより色濃くした色で、重厚感と高級感が漂います。京都蒸溜所のトレードマークも屋号のようなすっきりとしたデザインで日本らしさを感じます。ジンそのものもおいしいですが、ビンのデザインとラベルの漢字表記の相乗効果で海外でもうけるかもしれません。
こちらは後日談。
季の美を紹介いただいたバーを数日後、訪れると「ジントニック、マティーニでもおいしいですよ」とマスター。冷凍庫で冷やした季の美をマティーニで注文です。
飲み口はやさしい味わいです。マスターの力量もあるのでしょうが、柚子の香りは打ち消されず、しっかりと強調されたままでした。バーテンダーさんの作り方にもよりますが、マティーニを提供する直前にお客さんの前で柑橘系のピールを絞ってさわやかな香りをグラスにまとわせますが、柚子のピールを使ったマティーニも飲んでみたいです。
メーカーホームページはこちら↓↓↓
https://kyotodistillery.jp/ja/startingoperation/
文/写真=アライサトシ