今回は引き続き川崎市臨海部の工場夜景、浮島(川崎区浮島町)と東扇島東公園(川崎区東扇島)をご紹介します。前回と同様、川崎らしい工場夜景をカメラに収めようと自転車で丁寧にめぐりました。
浮島町の面積は5平方キロメートル。石油精製所、建材や化学薬品の工場などが立ち並ぶ京浜工業地帯有数の撮影ポイントです。東端には東京湾アクアラインの入口となる川崎浮島ジャンクションがあり、アクアラインが開通した1997年からは交通の要衝となりました。
浮島の南西沖に浮かぶ東扇島へは徒歩や自転車では向かえません。車で首都高速神奈川6号川崎線から川崎浮島ジャンクションを経由し首都高湾岸線で向かいます。東扇島では東公園を散策しました。
とにかくだだっ広い公園です。横浜市金沢区から、都内臨海部を経由し、千葉県市川市までをぐるりと結ぶ湾岸線が地下を走っています。島は食品メーカーなどの倉庫が立ちなぶ国内有数の物流基地となっています。
京浜運河に面した公園のデッキからは対岸(川崎市街地方面)に工場群を望めます。デッキには無数の電灯が等間隔で配置されていてこれも見る価値があります。このあたりの演出は、地方の石油コンビナートでは見られません。工場夜景を観光客誘致をもくろむ川崎っぽさを感じます。
デッキから離れ、多目的グランドから望遠レンズで圧縮気味に撮影すると、すぐ目の前にプラント群があるように写ります。公園内は工場夜景を楽しみに来たカップルがいて、少々肩身の狭い思いをしました。こちら側の存在を知らせるためにも懐中電灯があると便利です。
公園の芝生の中にぽつりと咲く黄色い花を懐中電灯が映しだしました。こんな偶然の発見も夜景撮影の楽しみです。
すぐ隣のふ頭では釣り人が糸を垂らしていました。対岸には東京電力川崎火力発電所の二本の煙突がそびえます。走って撮影ポイントを探す夜行走光とは対照的な夜景の楽しみ方かもしれません。
文/写真=アライサトシ